グラノーラ

昨日の帰り道に、駅ビルの地下にある輸入食品屋で買ったドライフルーツのアソートパック。見るからに上質な艶のある南アフリカ産の杏、洋梨、青森産の大きな桃の詰め合わせパックに、流れるような金色のフォントで〈Premium Fruit Pack〉と書いてある。

これが本当に美味かったのだった。帰宅して、リヴィングで一粒だけ食べるつもりがついひと息にむさぼり食ってしまった。杏のさわやかな酸味、絹のようにしっとりとした洋梨からにじみだす甘さ、桃はもうそれ自体がフルーツの味わい全てをそのまま表しているような暴力的な美味さで、思わず「これがPremiumかあ!!フルーツグラノーラにしてえ!!」と叫んでしまい、一切の虚飾のない素直な気持ちが心の奥底から飛び上がってきたのだった。

たしかに輸入食品屋を近所のセブンみたいに利用するライフスタイルが世間で賛美されるのも無理はないなあ。これは素晴らしい。たとえばタワマンの高層階の住人なんかが仕事帰りにワインなんかと一緒にごっそりと買っていくのだろうか?あるいはドライフルーツに全振りする月収5万の崩れかかった男?捨て身のパティシエ?

普段のフルーツグラノーラのフルーツが全てこれらのうるわしいフルーツに変わるとしたら、それはすごく明瞭な、手に取れる質量と輝きを持ったアップグレードだ。毎朝このアソートパックをグラノーラにして出勤前にだるそうにむさぼり喰うことができれば、生活の質が上がる、というより生活そのものがまぶしい物語になりそうだ。

うん、なるほどな、そうだな!そして毎日〈Premium Fruit Pack〉を買い込む常連になったら、あの妙にハキハキした店員さんとも顔なじみだな!

ってか自分で作れば良いのか。今どきドライフルーツを作る技術はどこでも学べる。まずは郊外へ出て桃を仕入れに行こう。そして庭に並べて干しておこう。